今日の例題アニメ
デビルメイクライ#2
http://www.youtube.com/watch?v=5kVqdq_aNJk
今回は動画でも少し難しいカメラワークについて
作業するに当たって、それがどういう画面になって放映されるかというのを理解してするのと何も考えないで作業するのでは雲泥の差があるので
説明は重要だと思われます
特にアニメの場合実写と同じ言葉を使うけれど、内容に違うものがあるので注意がいります
その1はフレームとPAN
★フレームについて
フレームとは紙にかいたものの内画面に写される部分を言うのだけれど
まあ、最終的にトリミングされる部分と思ってくれればOK
アニメでは3種類あって
ノーマル(スタンダード)フレーム:普通のテレビ画面に合うように4:3の比率のもの
ワイドビスタフレーム(ビスタフレーム):ワイド画面に対応するように16:9の比率のもの。実際の放映ではノーマルテレビ用にフレームのなかの中央のスタンダードフレームにあたる部分で切ったり、横を合わせて縦を小さくする場合もある。DVDなんかではちゃんとビスタ画面になってる
だいぶスタンダードよりこちらを使った作品が今は多くなってきた
スクリーンビスタ:1.85:1の比率、映画のスクリーン用
の三つ
今はあまりないがビスタが普及し始めたとき、どう画用紙自体はスタンダードのままでフレームをビスタの形にしたため、上下が狭くなって紙の上で画面に移る部分が狭くなるようなものがあった。画面に移る部分が狭くなるということは放映したときにその分拡大されてしまうので画面が少し粗くなる。ので俗に「貧乏ビスタ」と呼ばれていた
いまはだいたいはA4を横にした状態で使うのビスタ用紙を各社作っている
GONZO(でかい)とサテライト(よこはA4なのになぜか縦がでかい)だけは紙のサイズが違う
注意が必要なのは各社業界で比率は統一されているのだが微妙にサイズが違う。動画ではそれほど気にする必要はないが原画を書く時は注意が必要
★フレームの内訳
フレームといってもひとつの紙の中でもいくつかあって
標準フレーム(撮影フレーム):実際撮影するときに使うフレームカメラワークの指示などは撮影さんのためにこれを使う。
TVフレーム:実際に放映される範囲を示したフレーム。写るのはこの部分なので、レイアウトを切るときなどはここを意識しないといけない
まだメディアがアナログだったころ、出来上がるのがフィルムであるために標準フレームぎりぎりを放映範囲にすると端が暗くなったりぼけてしまったりすることがあったので少し内側を画面出す。その範囲を決めるためのフレーム。
デジタル化してからはこういうことがなくなったので標準=TVフレームでやってるところもあるが、TVフレームがあるところがまだまだ多い
彩色フレーム(作画フレーム):セルが切れちゃったりする事故をを起こさないために撮影フレームより少し広く取ったフレーム。ないところもある。
あくまで彩色の目安。動画は写らなくても紙の端まで描くのが基本です
イラスト描くときに紙の端を意識して変になるのと一緒で、作画は常に大きめの絵をトリミングというのを基本とする
★★PANについて
PAN(パン)というのは撮影用語で、実写ではカメラを横に振ることを言います。このときカメラの角度が変わる
しかしアニメは紙に描いている為撮影のときのカメラの角度を変えたりはできません。なのでセルや背景などの素材のほうを動かすのが基本になります
そのなかでアニメの世界でのPANは全部まとめて動かすものを言います
フィルム時代はカメラが固定で台の上に素材を乗せて一コマ一コマちょっとずつずらして撮影してました
作画の作業としては普通のPANの場合大きな紙に描いて、フレームをどこからどこまでと指示を描くというもの
フレームは今は原画が描くのが主流な様です
昔は原画に書き込んであったので、動画がそれをトレスしてました
今でも原画マンの作ったものが別紙でなければ動画が作ります
ちなみに横にPANするものをふつうに「PAN」縦に移動するものを「PANDOWNパンダウン」「PANUPパンナップ」といい
PANの速度が変わるときにメモリで記してあるものを「めもりPAN」といいます
ほかに6コマ~12コマくらいで長い距離移動の速いスピードでPANするものをクイックパンといったりする
例題動画:
3分8秒くらい~3分17秒までPANDOWN(次のカットもパンダウン)
3分27秒~3分35秒までPAN
◎フォロー、フォローパン
同じPANではあるのだけれど被写体をカメラが追いかけるように移動するものをfollow-panといいます
被写体が動いてもずっと画面に映っているようにすることです
実写だとカメラを被写体に向けているだけでいいですが、アニメの場合はカメラ自体が固定なのでそうはいきません
要するにセルはずっとフレームのなかで動いていて、背景を動きにあわせて移動させます。だからたいていのフォローの場合とても長かったり大きな背景が必要になります
一般的にフォローパンといいますが、アニメでは撮影の仕方がいくつかあることから
フォロー:単純に一定速度で動き続ける被写体を追いかけるもの
例題3分23秒~26秒あたり
時をかける少女のラストのほうで千秋のところにひたすら走り続ける真琴のシーン
フォローパン:動きが複雑なもので、パンの指示に合わせた紙のサイズで作画したもの。カメラワークはメモリパンの要領でする。タップ穴に素材全て重ねるとセルがすべて背景上の対応した位置に来るところがつけパンと違うところ
よく普通の目盛りパンや付けパンと混同されるが実は微妙に違う
が、特に用語が違っていても撮影はできるのであまりとやかく言われない
付けパン:内容はほぼフォローパンと同じだがこちらは背景は同じでセルの作画の仕方が違う(画像3)
フレームに入る内容(画面に映る内容)だけを作画するので作画は1フレームサイズで行う
撮影時セルは動かさず、背景だけをフレームの指示にあわせてずらして撮影する物を言う
例題:5分8秒~10秒のよけるレディ
という用語になる
似たものとして一応カメラは追いかけてはいるが、特に目盛りなどが必要ないときは、フォローパンという言葉は使わずPAN で済ませます作画上や、タイムシートに書く撮影指示ではPANだけど、打ち合わせのときなんかは「ここは手につける感じでPAN 」とかいった感じで言う
ほかに移動した被写体のほうにフレームが移動するものを修正パンという
こんなかんじです
サンプルまなびストレート
俺の原画パートも結構あるなあ
SNSでは写真サンプルもあったが割愛する
動画 :原画と原画の間の動きを入れた、作画最終ライン
まず原画をクリンナップするところからはじめる
最終的に画面に出るのは動画の線。描く人は動画マンという
基本的に単純作用なので、海外じゃアニメーターとして認められ
ていません
原画 :動きのキーとなる部分の絵を描いたもの。描く人を原画マンとい
う。画面で出る作画のクヲティのメインになるところ。
動きを作るのも画面を構成するのもタイミングをつけるのも原画マ
ン。原画を描くことだけが原画マンの仕事じゃありません
アニメーターというと原画マンのことをさすことが多い
(補足)
キーとなる部分のイメージとして猫耳講座の走りのところを見てもわかると思うが。たとえば横から正面に顔が振り向くとすると。単純化すると、原画は横顔と正面顔だけ
途中ちょっとずつこっちを向く顔は動画になる
ちなみに原画もクリンナップされてはじめて動画になる
作画監督 :作画部門の責任者。本来は複数の原画マンで作成されるア
ニメの現場においてどうしてもばらつきの出る作品内の絵柄
の統一をする人。演技のばらつきなどもそろえる。
下手な原画マンだと全部書き換えなくちゃいけないので、超
大変
基本は作品、話数ごとに一人だが、スケジュールなどの関
係で半パート(コマーシャルをはさんでAパートBパートとい
う)ごとで分けたり、数人で作業することも多い
演出 :作画、声、SE(効果音)BGM等をまとめ作品として作り上げる人
作画に関していうと演技やタイミング、画面構成などを見る
特に絵がかけなくてはいけないという縛りはない
設定資料 :作画などをするときに使う基本資料
キャラ、小物、BG、メカなど結構種類がある
レイアウト :画面構成と、演技の案を描いたもの。原画、背景、3Dなどレ
イアウトを基に作られる。原画マンがレイアウト用紙に描く
BG(背景) :そのまま背景、背景さんが描く。デジタルかポスターカラー
で描かれる
BOOK :基本背景ではあるが、カメラワークで移動したり、キャラの前に
あるものだったりして分けて描かなくてはいけないものをこう呼
ぶ。
背景さんが描く
(補足)
1:サンプルのまなびストレートOPで40秒あたりの景色の遠景
一番奥の町並みが背景、一番手前の木がBOOK1、学園の時計塔がBOOK2
カメラが移動するにあわせ遠近感を出すために別々の速度で移動します。もちろん止め絵であるため本来変わるはずのパースは変わっていません。そういう風に見えるごまかしの一つ。
2:2分25秒あたり、生徒会室内
まなびの手前の机がBOOK。キャラを机にあわせて切るという手もあるにはあるんだが、動きがあるためにミスによって隙間が出来てしまったりを防ぐために、BOOKとしてキャラは全身隠れてるところも描いてます
原図 :レイアウトにおける背景の基になる絵。これを基に背景さんが背
景を描きます。背景原図、原図といわれる
原画マンが描きます
タップ :これと鉛筆さえあればアニメーターは仕事ができるといわれる、
アニメータの神器。3つの突起がついていて動画用紙にあいてい
る穴にはめることによって、重ねられた紙がずれないようになって
る
アニメイトにも売ってます
動画用紙 :動画用の紙、タップの突起をはめるための穴が3つ開いてま
す。普通のTV用のサイズとビスタサイズ(横長画面用)、劇
場用のサイズがある。結構いい紙。
カット:カメラが切り替わる瞬間で区切った映像用語。フィルム時代、撮影
したフィルムをはさみで切って貼り付けて編集していたことからこう
呼ばれてる。映画撮影とかで[カーーーーーット!」と監督が言うの
もここでカメラが切り替わるというところから来ています(実際は少
し長めにとって編集できるんだけど)。
たとえばサンプルの最初で電車の車輪とそのあとの電車の中はカ
メラが切り替わるので別のカット
カット番号 :カットを頭から番号つけたもの上の例だと車輪のカットは
CUT1、車内のカットがCUT2
ちなみにTVアニメだと1話数で300カット前後が相場
カット袋 :カットごとに作られた作画素材(レイアウト、原画、動画など)を
入れておく袋
表に動画枚数、彩色枚数ほかメモと、各セクションを通過するチ
ェック欄などがある
たいてい制作会社ごとに違う
タイムシート:作画のタイミング、カメラワーク、台詞、SE(効果音)BGM当
を撮影さんに指示するための紙
原画マンと動画マン、演出さんが書きます
これもたいてい制作会社ごとに違う
コマ:映像においての時間軸での最小単位。
アニメーションではフィルム時代の名残で1秒間に24コマを全作品共
通でしてます。1秒間に24枚の絵が最大ではいるということ。ちなみ
にVTRは1秒30コマ。表記として1秒半だと(1s+12)と書きます
セル、別セル:用語としては、重
ねている絵(背景、BOOKを除く)そのものを指す。イメージ はフォトショでいうレイヤーと同じ
別々に動くものは原画でまとめて描かれてても、動画では
基本別に(別の動画用紙に)描かれてます(これを別セル
という)。下にあるセルからAセルBセル~とアルファベット
順になっている
(補足)
サンプル2カット目(2秒あたりから)の電車内のカット
奥の車両Aセル
奥の車両にいるまなびBセル
手前の車両Cセル
手前の車両のつり革Dセル
という風に
サンプル22秒付近めいたんアップ
めいたんは基本Aセル。が顔が動き終わったあとは何かしゃべっているくちだけBセルあとはAセル。なので動画のAセルは口なしめいたん
(蛇足)
フィルム時代はセル
が完全に透明ではないため、あまりセルを重ねると下の方の絵がかすんだりしていけないので、最大でも5枚程度までしかセル重ねが出来なかった
しかしデジタルになって透明部分にそういう心配がなくなったので、無限にセル重ねが出来るようになった
俺がやったので最大Nセルまであったことがある
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動画マン基礎講座~
クリンナップ(写真2,3)
要するに動画の仕上げ作業のこと
動画マンの仕事はまず原画をクリンナップをするところから始まる
原画の線と動画の線は違うので、必ず行われる
違うところは
原画:鉛筆の濃さは問わない 動画:B以上の濃さが必要
:色鉛筆の色は問わない ほぼ決まっている
:線を閉じる必要はない デジタル化してからは閉じなくてはいけない
:濃淡は問わない 一定の濃さを要求される
:少しくらいのラフさはOK 毛羽立った線など問題外
等色々
セルの時代はセルにするときにカーボンで熱転写されるので、濃さなどに斑があると、カーボンがめったりついたり転写されなかったり。デジタル化してからはスキャンの効率のために一定の濃さでする必要がある
昔は完全に閉じる必要はなかったが(彩色が手塗りなので)、いまはバケツツールでの塗りなので閉じてなきゃいけない
あくまでクリーンアップなのでほんとは原画より汚くなっちゃいけない
が最近の動画は・・・・・
ちなみに写真2が見本似非原画→3枚目クリンナップ見本
色トレス
色鉛筆でトレスすること、便宜的に「色TP」と書かれることも多い
基本的に影とノーマル色(影じゃないところ)の区切り線は水色(たまに違うとこもある)
ハイライトは赤
それ以外の実線でない色の変わるところ(口紅や模様、傷など多岐に渡る)は色トレス(赤が多い)
これは彩色以降のソフトによって違い主流のレタスがこの色だから
animoは赤と深緑だったりした
基本は色トレスは硬質の色鉛筆(6角形の断面のもの)を使う
塗りわけ
色の違うところを仕上げ(彩色)さんにわかるように動画に色分けするのだがスキャンの都合上裏にする
塗りわけは基本的に軟質の色鉛筆(断面の丸いもの)を使う
影肌、それ以外等実際は決まっているわけではないが、慣習的にわかりやすいように見本のような色を使うことが多い
中割り
原画と原画の間の絵を入れること
実際は原画をクリンナップしたもの同士の間の絵を描く
原画を中割り作業に使っちゃうと、クリンナップ時にでたコンマ数ミリ単位のずれが中割りに増幅されてしまうから。もちろんな中割りした物もクリンナップして初めて完成
線割
中割りの技術
動く対象の原画と原画の間に線を引くこと
ゆっくりした動きや少ししか動かない場合、立体を考えなくていい場合など、だいたいこれですむ
でも間をはみ出ると違う動きになっちゃうのでずれないように身長に引かなくてはいけない
形が変わったらもちろんだめ
立体を考えなくてはいけない場合線割しちゃうと別の物体になるのでしないでおこう
タップ割(写真1)
中割りの小技
小技だが基本技術
タップ穴が共通であることを利用して中割をすること
これをしないと起動がずれたり、絵が変わりすぎたりする
軌道
世間では動作曲線とか言われるが業界では基本こういう
動きの流れを言う
たとえば走りの講座の時に描いてあるようなもの
走りや歩き、まっすぐの動きなどわかりやすいものや基本的なものは、指示が原画にないことが多いが、演技や動き上弧を描くものなどはだいたい後の原画のほうに書かれていることが多い
無視するとカクカクした動きになるのでちゃんと軌道は指示があったらつけなくてはいけない
ツメ、均等割り(写真1)
中割りにおいて重要なことのひとつ
動きの自然さに影響するのでちゃんと理解していなきゃいけない
中割りを入れるときにどちらかの原画に詰まった絵にすること
アニメとして動かしたときに詰まっているとゆっくり、開いていると早く動く
ツメがないと動画が均等に割られて、実際動かしたときに機械のように一定のスピードで動く(これが均等割り)
物が動く場合、特に人間なんかは0→10にはいきなりスピードが上がらないので、そのとき動画でのツメが行われる
均等割りが必要なときもちろんあります
ツメには3種類あって
演技のツメと立体のツメ、動きのツメがある
演技のツメは要するに演技上の動きのメリハリ(スピードの緩急)をつけるために動画がするツメ
だいたいは原画の2枚目(あとになるほう)に指示が描いてある
でも正しい原画マンは書いてなくても自分で判断してツメを行う
立体のツメは要するに円を描く動きの場合上から見ると同じスピードでも、前から見ると端に詰まるというツメ
円柱に等間隔で線を描くと端に線がよって見えるというのと同じ理屈
回転運動をするときにつかう(実はめちゃくちゃ多い)
動きのツメは要するに動き出し動き始めは遅くなるということ
10→0にはスピードがさがらない(逆もあり)ので、10→5→2→1とスピードを緩める必要がある。なので止まっている原画に詰まる
これは演技の流れによって違うので、動画はどういう動きかを理解して中割りをする必要がある
わかりやすいのは振り向きで横から正面にむけて振り向くとき、原画と原画の間を均等に割ってしまうと、見ている人は最初が早くて後が遅いように見えてしまう。なので少し横の顔のほうに詰める必要がある
実際はそれに動きのツメが加わるのでさらに横顔方向と正面方向に詰まる
中割りの枚数が1枚の場合は動きのほう優先しよう
立体のツメは、原画に指示がないことがほとんどなので、動画の時ちゃんと理解しておいて中割りのときに自分の判断でつめる必要がある
動きのつめも指示があるときとないときがあるので、ない場合はちゃんと気がついて自分でつめなければならない
動画番号、原画番号
原画番号と動画番号は違う
原画番号はセル(レイヤーのほう)にあわせて原画の枚数の通し番号をつける。このとき中割り枚数は考慮されない
動画番号は最終的に動画になったときの通し番号をつける
基本動画時は紙の左上の端に記入(画面に出ちゃだめだから)、原画マンは原画番号はどこに描いてもよい
これとタイムシートを照らし合わせて撮影さんは撮影するので間違えるとめちゃくちゃなアニメーションになるのでちゃんと確認することが必要
メタモルフォーゼ
変形すること
たとえば写真1のまるから三角になるようなときはメタモルフォーゼという
ふだん略してメタモということがほとんど
最近はデジタル処理ですることも
が
表現として
タップ割をちゃんとしてなかったり、純粋に下手だったり、なかわりが崩れてたり、なかわりが人の形をしてなかったりすると、ムニョーンと変形したような気持ち悪い動きになるので
「メタモってる!」
といわれる
メタモらないように注意しよう
その位置は以上!
特にスレでコテなどは名乗っていないので基本名無し
こいつだとわかっても特定されるとへそを曲げます
字が汚いのが特徴
なかよくしたってね